報酬等基準
 
 
目次
 
第1章 総則
第2章 法律相談料等
     法律相談料(第9条)
     書面による鑑定料(第10条)
第3章 着手金及び報酬金
  第1節 民事事件
     訴訟,非訟,家事審判,行政審判,仲裁事件(第15条)
     調停,示談交渉,仲裁センター(第17条)
     契約締結交渉(第18条)
     督促手続(第20条)
     手形訴訟,小切手訴訟(第22条)
     離婚事件(24条)
     境界に関する事件(第26条)
     借地非訟(第27条)
     保全命令申立(第28条)
     民事執行(第29条)
     倒産整理(第30条)
     民事再生(第31条)
     任意整理(第32条)
     行政上の不服申立(第33条)
  第2節 刑事事件
     刑事事件(第34条)
     保釈等(第38条)
     告訴,告発等(第39条)
  第3節 少年事件
第4章 手数料
     証拠保全(第43条)
     即決和解(第44条)
     公示催告(第45条)
     倒産事件の債権届出(第46条)
     簡易な甲類審判(第47条)
     調査(第48条)
     契約書類の作成(第49条)
     内容証明郵便(第52条)
     遺言書の作成(第53条)
     遺言の執行(第54条)
     会社の設立(第55条)
     登記手続(第56条)
     株主総会指導(第57条)
     現物出資等証明(第58条)
     簡易な自賠責請求(第59条)
     任意後見,財産管理及び身上監護(第60条)
第5章 顧問料
第6章 日当
第7章 実費等
第8章 委任契約の清算
附則
 
 
 
 
第1章 総則
 
第1条(種類)
    この基準における報酬等とは,法律相談料,書面による鑑定料,着手金,報酬金,手数料,顧問料及び日当とする。
 2  前項の用語の意味は以下のとおりとする。
  @ 法律相談料とは,依頼者に対して行う法律相談(口頭による鑑定,電話による相談を含む)の対価をいう。
  A 書面による鑑定料とは,依頼者に対して行う法律上の判断又は意見の表明の対価をいう。
  B 着手金とは,事件又は法律事務(以下「事件等」という)の性質上,委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて,その結果のいかんにかかわらず受任時に受けるべき委任事務処理の対価をいう。
  C 報酬金とは,事件の性質上,委任事務処理の結果に成功不成功があるものについて,その成功の程度に応じて受ける委任事務処理の対価をいう。
  D 手数料とは,原則として1回程度の手続又は委任事務処理で終了する事件等についての委任事務処理の対価をいう。
  E 顧問料とは,契約によって継続的に行う一定の法律事務の対価をいう。
  F 日当とは,弁護士が,委任事務処理のために事務所所在地を離れ,移動によってその事件等のために拘束されること(委任事務処理自体による拘束を除く)の対価をいう。
 
第2条(支払時期)
    着手金は,事件等の依頼を受けたときに,報酬金は,事件等の処理が終了したときに,その他の弁護士報酬は,この基準に特に定めのあるときはその規定に従い,特に定めのないときは,依頼者との協議により定められたときに,それぞれ支払いを受ける。
 
第3条(事件等の個数等)
    弁護士報酬は1件ごとに定めるものとし,裁判上の事件は審級ごとに,裁判外の事件等は当初依頼を受けた事務の範囲をもって,1件とする。ただし,民事裁判事件において,同一弁護士が引き続き上訴審を受任したときの報酬金については,特に定めのない限り,最終審の報酬金のみを受ける。
 2  裁判外の事件等が裁判上の事件に移行したときは,別件とする。
 
第4条(報酬の縮減)
    次の各号の1に該当することにより,受任件数の割合に比して1件あたりの執務量が軽減されるときは,弁護士は,この基準にかかわらず,弁護士報酬を適正妥当な範囲内で縮減することができる。
  @ 依頼者から複数の事件等を受任し,かつその紛争の実態が共通であるとき。
  A 複数の依頼者から同一の機会に同種の事件等につき依頼を受け,委任事務処理の一部が共通であるとき。
 
第5条(複数の弁護士による請求)
    1件の事件等を複数の弁護士が受任したときは,次の各号の1に該当するときに限り,各弁護士は,依頼者に対し,それぞれ弁護士報酬を請求することができる。
  @ 各弁護士による受任が依頼者の意思に基づくとき。
  A 複数の弁護士によらなければ依頼の目的を達成することが困難であり,かつその事情を依頼者が認めたとき。
 
第6条(報酬の減免等)
    依頼者が経済的資力に乏しいとき又は特別の事情があるときは,弁護士は,この基準にかかわらず,弁護士報酬の支払時期を変更し又はこれを減額若しくは免除することができる。
 2  着手金及び報酬金を受ける事件等につき,依頼の目的を達することについての見通し又は依頼者の経済的事情その他の事由により,着手金を規定どおり受けることが相当でないときは,弁護士は,この基準にかかわらず,依頼者と協議のうえ,着手金を減額して,報酬金を増額することができる。ただし,着手金及び報酬金の合計額は,この基準にもとづく着手金と報酬金の合計額を超えてはならない。
 
第7条(報酬の増額)
    依頼を受けた事件等が,特に重大若しくは複雑なとき,審理若しくは処理が著しく長期にわたるとき又は受任後同様の事情が生じた場合において,この基準によっては弁護士報酬の適正妥当な額が算定できないときは,弁護士は,依頼者と協議のうえ,その額を適正妥当な範囲内で増額することができる。
 
第8条(消費税)
    この基準に定める額は,消費税法(昭和63年法律第108号)に基づき,弁護士の役務に対して課される消費税の額に相当する額を含まない。
 
 
第2章 法律相談料等
 
 
第9条(法律相談料)
    法律相談料は,次のとおりとする。
  @ 初回市民法律相談料については,30分ごとに5000円とする。
  A 一般法律相談料については,30分ごとに5000円以上2万5000円以下とする。
 2  前項の初回市民法律相談とは,事件単位で個人から受ける初めての法律相談であって,事業に関する相談を除くものをいい,一般法律相談とは,初回市民法律相談以外の法律相談をいう。
 
第10条(書面による鑑定料)
    書面による鑑定料は,10万円以上30万円以下とする。
 2  前項において,事案が特に複雑又は特殊な事情があるときは,弁護士は,依頼者と協議のうえ,前項に定める額を超える書面による鑑定料を受けることができる。
 
 
第3章 着手金及び報酬金
 
 
第1節 民事事件
 
 
第11条(算定基準)
    本節の着手金及び報酬金については,この基準に定めのない限り,着手金は事件等の対象の経済的利益の額を,報酬金は委任事務処理により確保した経済的利益の額をそれぞれ基準として算定する。
 
第12条(算定可能な場合)
    前条の経済的利益の額は,この基準に特に定めのない限り,次のとおり算定する。
  @ 金銭債権は,債権総額(利息及び遅延損害金を含む)。
  A 将来の債権は,債権総額から中間利息を控除した額。
  B 継続的給付債権は,債権総額の10分の7の額。ただし,期間不定のものは,7年分の額。
  C 賃料増減額請求事件は,増減部分の7年分の額。
  D 所有権は,対象たる物の時価相当額。
  E 占有権,地上権,永小作権,賃借権及び使用借権は,対象たる物の時価の2分の1の額。ただし,その権利の時価が対象たる物の時価の2分の1を超えるときは,その権利の時価相当額。
  F 建物についての所有権に関する事件は,建物の時価相当額に,その敷地の時価の3分の1の額を加算した額。建物についての占有権,賃借権及び使用借権に関する事件は,前号の額に,その敷地の時価の3分の1の額を加算した額。
  G 地役権は,承役地の時価の2分の1の額。
  H 担保権は,被担保債権額。ただし,担保物の時価が債権額に達しないときは,担保物の時価相当額。
  I 不動産についての所有権,地上権,永小作権,地役権,賃借権及び担保権等の登記手続請求事件は,第5号,第6号,第8号及び前号に準じた額。
  J 詐害行為取消請求事件は,取消請求債権額。ただし,取消される法律行為の目的の価額が債権額に達しないときは,法律行為の目的の価格。
  K 共有物分割請求事件は,対象となる持分の時価の3分の1の額。ただし,分割の対象となる財産の範囲又は持分に争いのある部分については,争いの対象となる財産又は持分の額。
  L 遺産分割請求事件は,対象となる相続分の時価相当額。ただし,分割の対象となる財産の範囲及び相続分について争いのない部分については,その相続分の時価相当額の3分の1の額。
  M 遺留分減殺請求事件は,対象となる遺留分の時価相当額。
  N 金銭債権についての民事執行事件は,請求債権額。ただし,執行対象物件の時価が債権額に達しないときは,第1号の規定にかかわらず,執行対象物件の時価相当額(担保権設定,仮差押等の負担があるときは,その負担を考慮した時価相当額)。
 
第13条(算定の特則)
    前条で算定された経済的利益の額が,紛争の実態に比して明らかに大きいときは,弁護士は,経済的利益の額を,紛争の実態に相応するまで,縮減しなければならない。
 2  前条で算定された経済的利益の額が,次の各号の1に該当するときは,弁護士は,経済的利益の額を,紛争の実態又は依頼者の受ける経済的利益の額に相応するまで,増額することができる。
  @ 請求の目的が解決すべき紛争の一部であるため,前条で算定された経済的利益の額が紛争の実態に比して明らかに小さいとき。
  A 紛争の解決により依頼者の受ける実質的な利益が,前条で算定された経済的利益の額に比して明らかに大きいとき。
 
第14条(算定不能な場合)
    第12条により経済的利益の額を算定することができないときは,その額を800万円とする。
 2  弁護士は,依頼者と協議のうえ,前項の額を,事件等の難易,軽重,手数の繁簡及び依頼者の受ける利益等を考慮して,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 
第15条(民事事件の着手金及び報酬金)
    訴訟事件,非訟事件,家事審判事件,行政審判等事件及び仲裁事件(第17条に定める仲裁センター事件を除く)の着手金及び報酬金は,この基準に特に定めのない限り,経済的利益の額を基準として,それぞれ次のとおり算定する。
 1 着手金
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の8%とする。ただし,経済的利益の額の8%が10万円に満たない場合は10万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の5%に9万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の3%に69万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の2%に369万円を加えた額とする。
 2 報酬金
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の16%とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の10%に18万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の6%に138万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の4%に738万円を加えた額とする。
 
第16条(増減額)
    前条の着手金及び報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができる。
 2  民事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,前条の規定にかかわらず,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
 
第17条(調停事件及び示談交渉事件)
    調停事件及び裁判外の和解交渉(以下「示談交渉」という)事件及び弁護士会が主催する仲裁センター等の紛争解決機関への申立事件(以下「仲裁センター事件」という)の着手金及び報酬金は,この基準に特に定めのない限り,それぞれ第15条の規定を準用する。ただし,同条の規定により算定された額の3分の2に減額することができる。
 2  示談交渉事件から引き続き調停事件又は仲裁センター事件を受任するときの着手金は,この規定に特に定めのない限り,前項本文により算定された額の2分の1とする。
 3  示談交渉事件,調停事件又は仲裁センター事件から引き続き訴訟その他の事件を受任するときの着手金は,この規定に特に定めのない限り,第1項本文により算定された額の2分の1とする。
 
第18条(契約締結交渉)
    示談交渉事件を除く契約締結交渉の着手金及び報酬金は,経済的利益の額を基準として,次のとおり算定する。
 1 着手金
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の2%とする。ただし,経済的利益の額の2%が10万円に満たない場合は10万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の1%に3万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の0.5%に18万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の0.3%に78万円を加えた額とする。
 2 報酬金
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の4%とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の2%に6万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の1%に36万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の0.6%に156万円を加えた額とする。
 
第19条(増減額)
    前条の着手金及び報酬金は,事案の内容により,30%の範囲内で増減額することができる。
 2  契約締結に至り報酬金を受けたときは,契約書その他の文書を作成した場合でも,その手数料を請求することができない。
 
第20条(督促手続事件)
    督促手続事件の着手金は,経済的利益の額を基準として,次のとおり算定する。
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の2%とする。ただし,経済的利益の額の2%が5万円に満たない場合は5万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の1%に3万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の0.5%に18万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の0.3%に78万円を加えた額とする。
 
第21条(増減額)
    前条の着手金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができる。
 2  督促手続事件が訴訟に移行したときの着手金は,第15条の規定により算定された額と,第20条及び前項の規定により算定された額との差額とする。
 3  督促手続事件の報酬金は,第15条及の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,依頼者が金銭等の具体的な回収をしたときでなければ,これを請求することができない。
 4  前項ただし書の目的を達するため,民事執行事件を受任するときは,弁護士は,前条及び本条第1項ないし前項の着手金又は報酬金とは別に,民事執行事件の着手金として第15条の規定により算定された額の3分の1を,報酬金として第15条の規定により算定された額の4分の1を,それぞれ受けることができる。
 
第22条(手形小切手訴訟事件)
    手形,小切手訴訟事件の着手金及び報酬金は,経済的利益の額を基準として,次のとおり算定する。
 1 着手金
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の4%とする。ただし,経済的利益の額の4%が5万円に満たない場合は5万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の2.5%に4万5000円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の1.5%に34万5000円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の1%に184万5000円を加えた額とする。
 2 報酬金
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,経済的利益の額の8%とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の5%に9万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の3%に69万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の2%に369万円を加えた額とする。
 
第23条(増減額)
    前条の着手金及び報酬金は,事件の内容により,30%の範囲内で増減額することができる。
 2  手形,小切手訴訟事件が通常訴訟に移行したときの着手金は,第15条の規定により算定された額と前条及び前項により算定された額との差額とし,その報酬金は,第15条の規定を準用する。
 
第24条(離婚事件)
    離婚事件の着手金及び報酬金は,次のとおりとする。ただし,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
  @ 離婚調停事件又は離婚交渉事件の着手金及び報酬金は,それぞれ20万円以上40万円以下とする。
  A 離婚訴訟事件の着手金及び報酬金は,それぞれ30万円以上50万円以下とする。
 
第25条(増減額)
    離婚交渉事件から引き続き離婚調停事件を受任するときの着手金は,前条の規定による離婚調停事件の着手金の額の2分の1とする。
 2  離婚調停事件から引き続き離婚訴訟事件を受任するときの着手金は,前条の規定による離婚訴訟事件の着手金の額の2分の1とする。
 3  前条及び前2項において,財産分与,慰謝料など財産給付を伴うときは,弁護士は,財産給付の実質的な経済的利益の額を基準として,第15条及び第17条の規定により算定された着手金及び報酬金の額以下の適正妥当な額を加算して請求することができる。
 4  前条及び前3項の規定にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,離婚事件の着手金及び報酬金の額を,依頼者の経済的資力,事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 
第26条(境界に関する事件)
    境界確定訴訟,境界確定を含む所有権に関する訴訟その他境界に関する訴訟の着手金及び報酬金は,それぞれ30万円以上50万円以下とする。ただし,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
 2  前項の着手金及び報酬金は,第15条及の規定により算定された着手金及び報酬金の額が前項の額を上回るときは,第15条の規定により算定された額とする。
 3  境界に関する調停事件,仲裁センター事件及び示談交渉事件の着手金及び報酬金は,事件の内容により,前2項の規定により算定された額の,それぞれ3分の2に減額することができる。
 4  境界に関する示談交渉事件から引き続き調停事件又は仲裁センター事件を受任するときの着手金は,第1項及び第2項の規定により算定された額のそれぞれ2分の1とする。
 5  境界に関する調停事件,仲裁センター事件又は示談交渉事件から引き続き訴訟事件を受任するときの着手金は,第1項及び第2項の規定により算定された額の,それぞれ2分の1とする。
 6  前5項の規定にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,境界に関する事件の着手金及び報酬金の額を,依頼者の経済的資力,事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 
第27条(借地非訟事件)
    借地非訟事件の着手金は,借地権の額を基準として,次のとおりとする。ただし,同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,着手金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
  @ 借地権の額が5000万円以下の場合は,20万円以上40万円以下とする。
  A 借地権の額が5000万円を超える場合は,前号の額に5000万円を超える部分の0.5%を加算した額とする。
 2  借地非訟事件の報酬金は,次のとおりとする。ただし,弁護士は,依頼者と協議のうえ,報酬金の額を,事案の複雑さ及び事件処理に要する手数の繁簡等を考慮し,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
  @ 申立人については,申立が認められたときは借地権の額の2分の1を,相手方の介入権が認められたときは財産上の給付の2分の1を,それぞれ経済的利益の額として,第15条の規定により算定された額とする。
  A 相手方については,その申立が却下されたとき又は介入権が認められたときは,借地権の額の2分の1を,賃料の増額又は財産上の給付が認められたときは,賃料増額分の7年分又は財産上の給付額をそれぞれ経済的利益として,第15条の規定により算定された額とする。
 3  借地非訟に関する調停事件,仲裁センター事件及び示談交渉事件の着手金及び報酬金は,事件の内容により,第1項の規定による額又は前項の規定により算定された額の,それぞれ3分の2に減額することができる。
 4  借地非訟に関する示談交渉事件から引き続き調停事件又は仲裁センター事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額の2分の1とする。
 5  借地非訟に関する調停事件,仲裁センター事件又は示談交渉事件から引き続き借地非訟事件を受任するときの着手金は,第1項の規定による額の2分の1とする。
 
第28条(保全命令申立事件)
    仮差押及び仮処分の各命令申立事件(以下「保全命令申立事件」という)の着手金は,第15条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,審尋又は口頭弁論を経たときは,同条の規定により算定された額の3分の2とする。
 2  前項の事件が重大又は複雑であるときは,第15条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。ただし,審尋又は口頭弁論を経たときは,同条の規定により算定された額の3分の1の報酬を受けることができる。
 3  第1項の手続のみにより本案の目的を達したときは,前項の規定にかかわらず,第15条の規定に準じて報酬金を受けることができる。
 4  保全執行事件は,その執行が重大又は複雑なときに限り,保全命令申立事件とは別に着手金及び報酬金を受けることができるものとし,その額については,第29条第1項及び第2項の規定を準用する。
 5  第1項の着手金及び第2項の報酬金並びに前項の着手金及び報酬金は,本案事件と併せて受任したときでも,本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。
 6  保全命令申立事件及び保全執行事件の着手金は,10万円を最低額とする。
 
第29条(民事執行事件等)
    民事執行事件の着手金は,第15条の規定により算定された額の2分の1とする。
 2  民事執行事件の報酬金は,第15条の規定により算定された額の4分の1とする。
 3  民事執行事件の着手金及び報酬金は,本案事件に引き続き受任したときでも,本案事件の着手金及び報酬金とは別に受けることができる。ただし,着手金は第15条の規定により算定された額の3分の1とする。
 4  執行停止事件の着手金は,第15条の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,本案事件に引き続き受任するときは,同条の規定により算定された額の3分の1とする。
 5  前項の事件が重大又は複雑なときは,第15条の規定により算定された額の4分の1の報酬金を受けることができる。
 6  民事執行事件及び執行停止事件の着手金は,5万円を最低限とする。
 
第30条(倒産整理事件)
    破産,会社整理,特別清算及び会社更生の各事件の着手金は,資本金,資産及び負債の額,関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じて定め,それぞれ次の額とする。ただし,上記各事件に関する保全事件の弁護士報酬は,右着手金に含まれる。
  @ 事業者の自己破産事件については,50万円以上とする。
  A 非事業者の自己破産事件については,20万円以上とする。
  B 自己破産以外の破産事件については,50万円以上とする。
  C 会社整理事件については,100万円以上とする。
  D 特別清算事件については,100万円以上とする。
  E 会社更生事件については,200万円以上とする。
 2  前項の各事件の報酬金は,第15条の規定を準用する。この場合の経済的利益の額は,配当額,配当資産,免除債権額,延払いによる利益及び企業継続による利益等を考慮して算定する。ただし,前項第1号及び第2号の事件は,依頼者が免責決定を受けたときに限り,報酬金を受けることができる。
 3  自己破産申立事件を受けないで免責申立事件(免責異議申立事件を含む)のみを受任した場合の着手金については,第1項第2号の規定により算定された額の2分の1とする。この場合の報酬金については前項の規定を準用する。
 
第31条(民事再生事件)
    民事再生事件の着手金は,資本金,資産及び負債の額,関係人の数等事件の規模並びに事件処理に要する執務量に応じて定め,それぞれ次の額とする。ただし,民事再生事件に関する保全事件の弁護士報酬は,本着手金に含まれる。
  @ 事業者の民事再生事件については,100万円以上とする。
  A 非事業者の民事再生事件については,30万円以上とする。
  B 小規模個人再生事件及び給与所得者等再生事件については,20万円以上とする。
 2  依頼者が再生手続開始決定を受けた後民事再生事件が終了するまでの執務の対価として,依頼者との協議により,執務量及び既に受けている着手金又は報酬金の額を考慮したうえで,月額で定める弁護士報酬を受けることができる。
 3  民事再生事件の報酬金は,第15条の規定を準用する。この場合の経済的利益の額は,弁済額,免除債権額,延払いによる利益,及び企業継続による利益等を考慮して算定し,報酬金の具体的な算定にあたっては既に受領している前項の月額で定める弁護士報酬の額を考慮する。ただし,報酬金は依頼者が再生計画認可決定を受けたときに限りこれを受けることができる。
 4  民事再生法第235条にもとづく免責申立事件(免責異議申立事件を含む)の着手金は,第1項第2号及び第3号の規定により算定された額の2分の1とする。この場合の報酬金は前項の規定を準用する。
 
第32条(任意整理事件)
    任意整理事件(前条第1項に該当しない債務整理事件)の着手金は,資本金,資産及び負債の額並びに関係人の数等事件の規模に応じて定め,それぞれ次の額とする。
  @ 事業者の任意整理事件については,50万円以上とする。
  A 非事業者の任意整理事件については,20万円以上とする。
 2  前項の事件が清算により終了したときの報酬金は,債務の弁済に供すべき金員又は代物弁済に供すべき資産の価額(以下「配当源資額」という)を基準として,次の各号のとおりに算定する。
  @ 弁護士が債権取立,資産売却等により集めた配当源資額につき,
   ア  その額が500万円以下の場合は,その15%にあたる額。
   イ  その額が500万円を超え1000万円以下の場合は,その10%に25万円を加えた額。
   ウ  その額が1000万円を超え5000万円以下の場合は,その8%に45万円を加えた額。
   エ  その額が5000万円を超え1億円以下の場合は,その6%に145万円を加えた額。
   オ  その額が1億円を超える場合は,その5%に245万円を加えた額。
  A 依頼者及び依頼者に準ずる者から任意提供を受けた配当源資額につき
   ア  その額が5000万円以下の場合は,その3%にあたる額。
   イ  その額が5000万円を超え1億円以下の場合は,その2%に50万円を加えた額。
   ウ  その額が1億円を超える場合は,その1%に150万円を加えた額。
 3  第1項の事件が,債務の減免,履行期限の猶予又は企業継続等により終了したときの報酬金は,第30条第2項の規定を準用する。
 4  第1項の事件の処理について,裁判上の手続を要したときは,前2項に定めるほか,本節の規定により算定された報酬金を受けることができる。
 
第33条(行政上の不服申立事件)
    行政上の異議申立,審査請求,再審査請求その他の不服申立事件の着手金は,第15条の規定により算定された額の3分の2とし,報酬金は,同乗の規定により算定された額の2分の1とする。ただし,審尋又は口頭審理等を経たときは,同条の規定を準用する。
 2  前項の着手金は,10万円を最低限とする。
 
 
第2節 刑事事件
 
 
第34条(刑事事件の着手金)
    刑事事件の着手金は次のとおりとする。
  @ 起訴前及び起訴後(第1審及び上訴審をいう)の事案簡明な事件については,それぞれ20万円以上40万円以下とする。
  A 起訴前及び起訴後の第1号以外の事件及び再審事件については,30万円以上とする。
  B 再審請求事件については,30万円以上とする。
 2  前項の事案簡明な事件とは,特段の事件の複雑さ,困難さ又は繁雑さが予想されず,委任事務処理に特段の労力又は時間を要しないと見込まれる事件であって,起訴前については事実関係に争いがない情状事件,起訴後については公判終結までの公判開廷数が2ないし3開廷程度と見込まれる情状事件(上告事件を除く),上告審については事実関係に争いがない情状事件をいう。
 
第35条(刑事事件の報酬金)
    刑事事件の報酬金は次のとおりとする。
 1 事案簡明な事件(前条の事案簡明な事件と見込まれ,かつ結果において予想された委任事務処理量で結論を得た事件。)
  @ 不起訴の場合は,20万円以上40万円以下とする。
  A 求略式命令の場合は,20万円以上40万円以下とする。
  B 刑の執行猶予の場合は,20万円以上50万円以下とする。
  C 求刑された刑が減軽された場合は,20万円以上50万円以下とする。
 2 前項以外の刑事事件
  @ 不起訴の場合は,30万円以上とする。
  A 求略式命令の場合は,30万円以上とする。
  B 無罪の場合は,50万円以上とする。
  C 刑の執行猶予の場合は,30万円以上とする。
  D 求刑された刑が減軽された場合は,軽減の程度による相当な額とする。
  E 検察官上訴が棄却された場合は,30万円以上とする。
 3 再審請求事件
    再審請求事件の報酬については30万円以上とする。
 
第36条(刑事事件につき同一弁護士が引き続き受任した場合等)
    起訴前に受任した事件が起訴(求略式命令を除く)され,引き続いて同一弁護士が起訴後の事件を受任するときは,第34条に定める着手金を受けることができる。ただし,事案簡明な事件については,起訴前の事件の着手金の2分の1とする。
 2  刑事事件につき同一弁護士が引き続き上訴事件を受任するときは,前2条の規定にかかわらず,着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
 3  弁護士は,追加して受任する事件が同種であることにより,追加件数の割合に比して1件あたりの執務量が軽減されるときは,追加受任する事件につき,着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
 
第37条(検察官の上訴取下げ等)
    検察官の上訴取下げ又は免訴,公訴棄却,刑の免除,破棄差戻若しくは破棄移送の言渡しがあったときの報酬金は,それまでに弁護人が費やした時間及び執務量を考慮したうえ,第35条の規定を準用する。
 
第38条(保釈等)
    保釈,勾留の執行停止,抗告,即時抗告,準抗告,特別抗告,勾留理由開示等の申立事件の着手金及び報酬金は,依頼者との協議により,被疑事件又は被告事件の着手金及び報酬金とは別に,相当な額を受けることができる。
 
第39条(告訴,告発等)
    告訴,告発,検察審査の申立,仮釈放,仮出獄,恩赦等の手続の着手金は,1件につき10万円以上とし,報酬金は,依頼者との協議により受けることができる。
 
 
第3節 少年事件
 
 
第40条(少年事件の着手金及び報酬金)
    少年事件(少年を被疑者とする捜査中の事件を含む)の着手金は,次のとおりとする。
  @ 家庭裁判所送致前及び送致後の場合は,それぞれ20万円以上40万円以下とする。
  A 抗告,再抗告及び保護処分の取消の場合は,それぞれ20万円以上40万円以下とする。
 2  少年事件の報酬金は,次のとおりとする。
  @ 非行事実なしに基づく審判不開始又は不処分の場合は,20万円以上とする。
  A その他の場合は,20万円以上40万円以下とする。
 3  弁護士は,着手金及び報酬金の算定につき,家庭裁判所送致前の受任か否か,非行事実の争いの有無,少年の環境調整に要する手数の繁簡,身柄付の観護措置の有無,試験観察の有無等を考慮するものとし,依頼者との協議のうえ,事件の重大性等により,前2項の額を適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 
第41条(少年事件につき同一弁護士が引き続き受任した場合)
    家庭裁判所送致前に受任した少年事件は,第3条の規定にかかわらず,家庭裁判所に送致されても1件の事件とみなす。
 2  少年事件につき,同一弁護士が引き続き抗告審等を受任するときは,前条の規定にかかわらず,抗告審等の着手金及び報酬金を,適正妥当な範囲内で減額することができる。
 3  弁護士は,追加して受任する事件が同種であることにより,追加件数の割合に比して1件あたりの執務量が軽減されるときは,追加受任する事件につき,着手金及び報酬金を適正妥当な範囲内で減額することができる。
 4  少年事件が刑事処分相当として家庭裁判所から検察官に送致されたときの刑事事件の弁護士報酬は,本章第2節の規定による。ただし,同一弁護士が引き続き刑事事件を受任するときの着手金は,その送致前の執務量を考慮して,受領済みの少年事件の着手金の額の範囲内で減額することができる。
 
 
第4章 手数料
 
 
第42条(手数料)
    手数料は,この基準に特に定めのない限り,事件等の対象の経済的利益の額を基準として,本章の規定のとおりに算定する。なお,経済的利益の額の算定については,第12条ないし第14条の規定を準用する。
 
第43条(証拠保全)
    証拠保全の手数料額は,第15条第1項の規定により算定された額の10%にあたる額に20万円を加えた額を基本とする。
 2  特に複雑又は特殊な事情がある場合は,弁護士と依頼者との協議によって定める額とする。
 3  証拠保全の手数料は,本案事件を併せて受任したときでも本案事件の着手金とは別に受けることができる。
 
第44条(即決和解)
    即決和解について示談交渉を要する場合の手数料額は,示談交渉事件として,第17条又は第24条ないし第27条の各規定により算定された額とする。
 2  即決和解について示談交渉を要しない場合の手数料額は次のとおりとする。
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は10万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の1%に7万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の0.5%に22万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円以上の場合は,経済的利益の額の0.3%に82万円を加えた額とする。
 3  本条の手数料を受けたときは,契約書その他の文書を作成しても,その手数料を別に請求することはできない。
 
第45条(公示催告)
    公示催告の手数料額については,前条第2項を準用する。
 
第46条(倒産整理事件の債権届出)
    倒産整理事件の債権届出の手数料額は,5万円以上10万円以下とする。ただし,特に複雑又は特殊な事情がある場合には,弁護士と依頼者との協議により定める額とする。
 
第47条(簡易な家事審判)
    家事審判法第9条第1項甲類に属する家事審判事件で事案簡明なものの手数料額は,10万円以上20万円以下とする。
 
第48条(法律関係調査)
    法律関係及び事実関係についての調査の手数料額は,5万円以上20万円以下を基本とする。ただし,特に複雑又は特殊な事情がある場合は,弁護士と依頼者との協議により定める額とする。
 
第49条(定型的な契約書類等の作成)
    定型的な契約書類等の作成の手数料額は,次のとおりとする。
  @ 経済的利益の額が1000万円未満の場合は,5万円以上10万円以下とする。
  A 経済的利益の額が1000万円以上1億円未満の場合は,10万円以上30万円以下とする。
  B 経済的利益の額が1億円以上の場合は,30万円以上とする。
 
第50条(非定型的な契約書類等の作成)
    非定型的な契約書類等の作成の手数料額は,次のとおりとする。
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,10万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の1%に7万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の0.3%に28万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の0.1%に88万円を加えた額とする。
 2  特に複雑又は特殊な事情がある場合には,前項の規定にかかわらず,手数料額は,弁護士と依頼者との協議によって定める額とする。
 
第51条(公正証書にする場合)
    契約書類等を公正証書にする場合は,第49条及び第50条に定める手数料額に,3万円を加算する。
 
第52条(内容証明郵便の作成)
    弁護士名を表示した内容証明郵便の作成の手数料額は,3万円以上5万円以下とする。
 2  弁護士名を表示しない内容証明郵便の作成の手数料額は,1万円以上3万円以下とする。
 3  特に複雑又は特殊な事情がある場合は,前2項の規定にかかわらず,手数料額は,弁護士と依頼者との協議により定める額とする。
 
第53条(遺言書の作成)
    定型的な遺言書の作成費用は,10万円以上20万円以下とする。
 2  非定型的な遺言書の作成費用は,次のとおりとする。ただし,特に複雑又は特殊な事情がある場合は,弁護士と依頼者との協議により定める額とする。
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,20万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の1%に17万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の0.3%に38万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の0.1%に98万円を加えた額とする。
 3  遺言書を公正証書にする場合は,前2項の額に3万円を加えた額とする。
 
第54条(遺言の執行)
    遺言の執行の手数料額は次のとおりとする。ただし,特に複雑又は特殊な事情がある場合には,弁護士と依頼者との協議により定める額とする。
  @ 経済的利益の額が300万円以下の場合は,30万円とする。
  A 経済的利益の額が300万円を超え3000万円以下の場合は,経済的利益の額の2%に24万円を加えた額とする。
  B 経済的利益の額が3000万円を超え3億円以下の場合は,経済的利益の額の1%に54万円を加えた額とする。
  C 経済的利益の額が3億円を超える場合は,経済的利益の額の0.5%に204万円を加えた額とする。
 2  遺言執行に裁判手続を要する場合は,遺言執行手数料とは別に,裁判手続に要する弁護士報酬を請求することができる。
 
第55条(会社設立等)
    会社の設立,増減資,合併,分割,組織変更及び通常清算の手数料額は,資本額若しくは総資産額のうち高い方の額又は増減資額に応じて以下により算出された額とする。ただし,合併又は分割については200万円を,通常清算については100万円を,その他の手続については10万円を,それぞれ最低限とする。
  @ 柱書の額が1000万円以下の場合は,その額の4%とする。
  A 柱書の額が1000万円を超え2000万円以下の場合は,その額の3%に10万円を加えた額とする。
  B 柱書の額が2000万円を超え1億円以下の場合は,その額の2%に30万円を加えた額とする。
  C 柱書の額が1億円を超え2億円以下の場合は,その額の1%に130万円を加えた額とする。
  D 柱書の額が2億円を超え20億円以下の場合は,その額の0.5%に230万円を加えた額とする。
  E 柱書の額が20億円を超える場合は,その額の0.3%に630万円を加えた額とする。
 
第56条(会社設立等以外の登記等)
    会社設立等以外の登記申請手続きの手数料額は,1件につき5万円とする。ただし,事案によっては,弁護士と依頼者との協議により,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 2  登記簿謄抄本,戸籍謄抄本,住民票等の交付手続の手数料額は,1通につき1000円とする。
 
第57条(株主総会等指導)
    株主総会等指導の手数料額は,30万円以上とする。
 2  株主総会等準備も指導する場合の手数料額は,50万円以上とする。
 
第58条(現物出資等証明)
    商法第173条第3項等及び有限会社法第12条の2第3項等に基づく証明の手数料額は,1件につき30万円とする。ただし,出資等にかかる不動産価格及び調査の難易,繁簡等を考慮して,弁護士と依頼者との協議により,適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 
第59条(簡易な自賠責請求)
    自動車損害賠償責任保険に基づく被害者による簡易な損害賠償請求の手数料額は,次の各号により算定された額とする。ただし,損害賠償請求権の存否又はその額に争いがある場合には,弁護士は,依頼者との協議により適正妥当な範囲内で増減額することができる。
  @ 給付金額が150万円以下の場合は,3万円とする。
  A 給付金額が150万円を超える場合は,給付金額の2%とする。
 
第60条(任意後見,財産管理及び身上監護)
    任意後見契約又は財産管理・身上監護契約の締結に先立って,依頼者の事理弁識能力の有無,程度及び財産状況その他依頼者の財産管理又は身上監護にあたって把握すべき事情等を調査する場合の手数料は,第48条の規定を準用する。
 2  任意後見契約又は財産管理・身上監護契約に基づく委任事務処理を開始したときは,月額で定める弁護士報酬を受けることができるものとし,その額は次の各号のとおりとする。ただし,不動産の処分等日常的若しくは継続的委任事務処理に該当しない事務処理を要した場合又は委任事務処理のために裁判手続等を要した場合は,月額で定める弁護士報酬とは別にこの基準の定めにより算定された弁護士報酬を受けることができる。
  @ 依頼者が日常生活を営むのに必要な基本的な事務の処理を行う場合は,月額5000円から5万円の範囲内の額とするる
  A 依頼者が日常生活を営むのに必要な基本的な事務に加えて,収益不動産の管理その他の継続的な事務の処理を行う場合は,月額3万円から10万円の範囲内の額とする。
 3  任意後見契約又は財産管理・身上監護契約締結後,その効力が発生するまでの間,依頼者の事理弁識能力を確認するなどのために訪問して面談する場合の手数料は,1回あたり5000円から3万円の範囲内の額とする。
 
 
第5章 顧問料
 
 
第61条(顧問料)
    顧問料は次のとおりとする。ただし,事業者については,事業の規模及び内容等を考慮して,その額を減額することができる。
  @ 事業者の場合は,月額5万円以上とする。
  A 非事業者の場合は,年額6万円(月額5000円)以上とする。
 2  顧問契約に基づく弁護士業務の内容は,依頼者との協議により特に定めのある場合を除き,一般的な法律相談とする。
 3  簡易な法律関係調査,簡易な契約書その他の書類の作成,簡易な書面鑑定,契約立会,従業員の法律相談,株主総会の指導又は立会,講演などの業務の内容並びに交通費及び通信費などの実費の支払等につき,弁護士は,依頼者と協議のうえ,顧問契約の内容を決定する。
 
 
第6章 日当
 
 
第62条(日当)
    日当は次のとおりとする。
  @ 往復2時間を超え4時間までの場合は,3万円以上5万円以下とする。
  A 往復4時間を超える場合は,5万円以上10万円以下とする。
 2  前項にかかわらず,弁護士は,依頼者と協議のうえ,前項の額を適正妥当な範囲内で増減額することができる。
 3  弁護士は,概算により,あらかじめ依頼者から日当を預かることができる。
 
 
第7章 実費等
 
 
第63条(実費等の負担)
    弁護士は,依頼者に対し,弁護士報酬とは別に,収入印紙代,郵便切手代,謄写料,交通通信費,宿泊料,保証金,保管金,供託金,その他委任事務処理に要する実費等の負担を求めることができる。
 2  弁護士は,概算により,あらかじめ依頼者から実費等を預かることができる。
 
第64条(交通機関の利用)
    弁護士は,出張のための交通機関については,最高運賃の等級を利用することができる。
 
 
第8章 委任契約の清算
 
 
第65条(委任契約の中途終了)
    委任契約に基づく事件等の処理が,解任,辞任又は委任事務の継続不能により,中途で終了したときは,弁護士は,依頼者と協議のうえ,委任事務処理の程度に応じて,受領済みの弁護士報酬の全部若しくは一部を返還し,又は弁護士報酬の全部若しくは一部を請求する。
 2  前項において,委任契約の終了につき,弁護士のみに重大な責任があるときは,弁護士は受領済みの弁護士報酬の全部を返還しなければならない。ただし,弁護士が既に委任事務の重要な部分の処理を終了しているときは,弁護士は,依頼者と協議のうえ,その全部又は一部を返還しないことができる。
 3  第1項において,委任契約の終了につき,弁護士に責任がないにもかかわらず,依頼者が弁護士の同意なく委任事務を終了させたとき,依頼者が故意又は重大な過失により委任事務処理を不能にしたとき,その他依頼者に重大な責任があるときは,弁護士は,弁護士報酬の全部を請求することができる。ただし,弁護士が委任事務の重要な部分の処理を終了していないときは,その全部については請求することができない。
 
第66条(事件等処理の中止等)
    依頼者が着手金,手数料又は委任事務処理に要する実費等の支払を遅滞したときは,弁護士は,事件等に着手せず又はその処理を中止することができる。
 2  前項の場合には,弁護士は,あらかじめ依頼者にその旨を通知しなければならない。
 
第67条(弁護士報酬の相殺等)
    依頼者が弁護士報酬又は立替実費等を支払わないときは,弁護士は,依頼者に対する金銭債務と相殺し又は事件等に関して保管中の書類その他のものを依頼者に引き渡さないでおくことができる。
 2  前項の場合には,弁護士は,すみやかに依頼者にその旨を通知しなければならない。
 
 
 
附則(平成16年4月1日)
    この基準施行の際,現に処理中の事件の弁護士報酬については,なお,従前の例による。